成長期のスポーツで起きやすい「腰の骨のヒビ」。大人になってからも腰痛の原因になることがあります。
腰椎分離症は、腰の骨(椎弓)に疲労骨折が生じる疾患で、成長期にスポーツを活発に行う10代に多く発症します。分離が進行して椎体がずれると「分離すべり症」となり、慢性的な腰痛や足のしびれの原因になります。早期発見ではコルセットや安静で骨癒合が期待でき、慢性化した場合も固定術などの手術で改善が見込めます。当院では、脊椎外科専門医がMRI・CTによる早期診断から保存療法・手術まで一貫して対応しています。
成長期のスポーツで起きやすい「腰の骨のヒビ」。大人になってからも腰痛の原因になることがあります。
腰椎分離症は、腰の骨(椎弓)に疲労骨折が生じる疾患で、成長期にスポーツを活発に行う10代に多く発症します。分離が進行して椎体がずれると「分離すべり症」となり、慢性的な腰痛や足のしびれの原因になります。早期発見ではコルセットや安静で骨癒合が期待でき、慢性化した場合も固定術などの手術で改善が見込めます。当院では、脊椎外科専門医がMRI・CTによる早期診断から保存療法・手術まで一貫して対応しています。
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これらの症状には原因があり、改善できる可能性があります。まずは「どんな病気なのか」を知ることから始めましょう。
ひとことで言うと、「腰の骨の一部にヒビが入る病気」です。
背骨は、いくつもの骨が積み重なってできています。一つひとつの骨はリング(輪っか)のような形をしていて、このリングの中を大切な神経が通っています。このリングの後ろ側の細い部分に、くり返しの負担でヒビ(疲労骨折)が入ってしまうのが腰椎分離症です。さらに、ヒビが入った骨が前にずれてしまう状態を腰椎すべり症と呼びます。
分離症 = 骨にヒビが入った状態。リングの後ろ側にヒビが入りますが、骨の位置はまだ変わっていません。早い段階で見つければ、ヒビがくっつく可能性があります。
すべり症 = ヒビが入った骨がずれた状態。ヒビのせいでリングが不安定になり、骨の本体が前にずれてしまいます。ずれが大きくなると、神経を圧迫して足の痛みやしびれが出ることがあります。
医学的な分類について:腰椎分離症は初期(骨にストレス反応があるが完全な骨折に至っていない段階・MRIで発見可能)、進行期(骨折線が明らかになった段階・CTで確認)、終末期(偽関節となった段階・骨癒合は期待できない)の3段階に分類されます。発生部位は第5腰椎(L5)が約90%と最も多く見られます。
分離症は、一度のケガで起こるものではありません。腰を何度も反らしたり、ひねったりする動作をくり返すことで、少しずつ骨にダメージがたまります。金属の針金を何度も折り曲げると、やがてポキッと折れますよね。それと同じで、骨にも「疲労」がたまって折れることがあります。これを疲労骨折と呼びます。
腰を反らす動作が多いスポーツに多く見られます。野球(投球・バッティング)、サッカー(シュート)、バレーボール(スパイク・サーブ)、体操、新体操、バレエ、水泳(バタフライ・平泳ぎ)、ラグビー、柔道、剣道、陸上競技(投てき種目)などです。
10代前半(中学生)が最も多く、この時期は骨がまだ完全にでき上がっていないため、大人よりもヒビが入りやすいです。一般の方では約3〜6%に分離症が見られ、体操選手では約15〜20%、男子は女子の約2〜3倍多いことがわかっています。
若い頃に分離症になっていたことに気づかないまま大人になる方も少なくありません。年齢とともに背骨のクッション(椎間板)がすり減ると、ヒビの部分がさらに不安定になり、中年以降に痛みが出てくることがあります。「若い頃は何ともなかったのに、最近腰が痛い」という方は、昔の分離症が原因かもしれません。
症状は人それぞれです。全く痛みがない方から、日常生活に支障がある方まで様々です。
最も多い症状です。腰を後ろに反らすと痛みが強くなります。スポーツのあとに痛みが強くなり、休むと楽になるのが特徴です。腰の真ん中からやや横にずれた場所が痛むことが多いです。
すべり症が進行すると、ずれた骨が神経を圧迫して、お尻から太もも、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが出ることがあります。長く歩くと症状が強くなり、前かがみになると楽になる方もいます。
分離した骨が不安定になるため、「腰がグラグラする」「腰が抜けそう」と感じることがあります。重いものを持ち上げたときや、急な動きのときに不安になる方が多いです。
すべり症の方に多い症状です。骨のずれを体が無意識にカバーしようとして、太ももの裏の筋肉がつっぱることがあります。前屈がしにくくなったり、歩幅が小さくなったりします。
実は、分離症があっても全く痛みがない方も多いです。たまたまレントゲンを撮ったら見つかった、というケースも珍しくありません。症状がなければ、特に治療の必要がないこともあります。
分離症は早く見つけるほど治りやすい病気です。特にお子さんの腰痛は「成長痛」と決めつけず、注意が必要です。
骨にまだ完全なヒビは入っていませんが、ダメージが蓄積しています。この段階で気づいて休息とコルセットを使えば、約90%の方で骨が回復します。
完全なヒビが入った状態です。適切な治療を行えば約50〜70%で骨がくっつく可能性がありますが、放置するとくっつきにくくなります。
ヒビの部分が完全に離れてしまい、骨がくっつく見込みがなくなります。ここからすべり症に進行すると、神経の圧迫による足のしびれや痛みが出ることがあります。
2週間以上続く腰痛、特にスポーツで腰を反らすと痛い場合は、分離症の可能性があります。「成長痛」や「筋肉痛」と思い込まず、早めに専門の医療機関を受診してください。早期発見であれば、骨がくっつく可能性がぐんと高くなります。
2週間以上続く腰痛、特にスポーツで腰を反らすと痛い場合は、分離症の可能性があります。「成長痛」や「筋肉痛」と思い込まず、早めに専門の医療機関を受診してください。早期発見であれば、骨がくっつく可能性がぐんと高くなります。
「病院に行ったら何をされるんだろう?」と不安に思われる方も多いと思います。検査の流れをあらかじめ知っておくと、安心して受診できます。
「いつから」「どんなときに」痛いかをお聞きします。どんなスポーツをしているか、練習の頻度も大切な情報です。腰を反らしたときの痛みや、特定の場所を押したときの痛みを確認します。
レントゲン:骨のずれがないかを確認します。斜めから撮ると分離部が見えることがあります。MRI:骨の中のダメージ(骨髄浮腫)を確認します。初期の分離症はMRIでないと見つけられません。被曝がないのでお子さんにも安心です。CT:ヒビの状態を詳しく調べます。骨がくっつく見込みがあるかの判断に重要です。
検査結果をもとに、ヒビの段階、ずれの程度、年齢、スポーツの種類を総合的に考えて、適切な治療法をご相談しながら決めていきます。お子さんの場合は、保護者の方と一緒にしっかり説明いたします。
治療法は年齢(成長期かどうか)と病気の進み具合で大きく変わります。成長期のお子さんと、大人の方では治療の目標が異なります。
成長期(おおむね18歳以下):コルセットで骨をくっつける(骨癒合)ことを目指します。早期発見なら約90%で骨が回復します。成人(骨の成長が終わった後):残念ながらコルセットで骨がくっつくことはほぼ期待できません。リハビリや薬で症状をコントロールすることが治療の中心になります。すべりが生じた場合は固定術が必要になることがあります。
成長期は骨を作る力が活発なので、早期に発見してしっかり固定すれば、ヒビが自然にくっつく可能性があります。この「骨癒合(こつゆごう)」が期待できるのは成長期だけの大きなチャンスです。
硬性コルセット(硬い装具)を装着して、ヒビの入った部分を動かさないようにします。期間は通常3〜6ヶ月間で、この間スポーツは一時的にお休みしていただきます。骨癒合の成功率(病期別)は、超初期(MRIで発見)は約100%、初期(CTでヒビが見える)は約85〜95%、進行期(ヒビが広がっている)は約40〜64%、終末期(偽関節化)は0%(骨はくっつきません)です。コルセット中も体幹の筋力トレーニングは続けます。
骨がくっつく確率は、発見が早いほど高くなります。「腰が痛い」と言い出したお子さんを「筋肉痛だろう」と放っておくと、骨癒合のチャンスを逃してしまうことがあります。2週間以上続く腰痛は、早期に専門機関を受診してください。
大人の分離症は、ほとんどの場合すでに偽関節(ぎかんせつ)=骨がくっつかない状態になっています。そのため、治療の目標は「骨をくっつける」ことではなく、「痛みやしびれをコントロールして日常生活を快適にする」ことに変わります。
お薬:痛みを抑える薬、炎症を抑える薬。リハビリ:体幹(インナーマッスル)を鍛えて腰を安定させます。腹横筋や多裂筋のトレーニングが中心です。ブロック注射:痛みの原因箇所に直接薬を注入し、強い痛みを和らげます。コルセット:一時的な痛みの緩和に使用します(骨癒合目的ではありません)。
おおむね45歳以下の方で、椎間板の状態が良く、すべりが軽度(I度以下)の場合に選択できます。ヒビの入った部分だけをスクリューで直接修復する方法で、腰の動きをできるだけ残せるのが大きなメリットです。成功率は約84〜90%です。
すべり症が進行して骨がずれている場合や、椎間板が大きく傷んでいる場合には、不安定な骨をスクリュー(ネジ)とロッド(棒)でしっかり固定する手術が必要です。骨がずれて神経を圧迫している場合は、神経の圧迫を取り除く手術(除圧術)も同時に行います。固定術が検討される主な場合は、すべりが進行している(Meyerding分類II度以上)、足のしびれや痛みなどの神経症状がある、3〜6ヶ月の保存療法で改善しない、動態撮影で不安定性がある(3mm以上のずれ)、膀胱直腸障害がある場合(緊急手術)などです。
なお、分離症がなくても加齢による椎間板や関節の変化で骨がずれる「変性すべり症」もあります。中高年の女性に多く(L4に好発)、治療方針は分離すべり症と異なる部分があります。
分離症の段階、ずれの程度、年齢、スポーツの種類、生活スタイルは一人ひとり違います。あなたの状況に合った適切な方法を、一緒に考えましょう。
脊椎外科の技術は目覚ましく進歩しています。より安全に、体への負担を少なく治療できるようになっています。
新しいMRI技術により、まだ完全なヒビになっていない「ストレス反応」の段階で発見できるようになりました。この段階で治療を始めれば、骨がくっつく可能性が非常に高くなります。レントゲンでは見つけられない早期の変化を捉えられます。
手術用ロボットやナビゲーションシステムが、スクリューを入れる位置や角度をミリ単位で計算してサポートします。特に分離部修復術では、正確なスクリュー挿入が成功の鍵となるため、大きな恩恵があります。
小さな傷から筋肉をできるだけ温存して行う固定術です。従来の方法に比べて出血量が少なく、回復が早いのが特徴です。入院期間の短縮や、早期のスポーツ復帰につながります。
段階的にスポーツに復帰するための専門的なリハビリプログラムが確立されています。体幹の安定性を高めるトレーニングから始め、競技特有の動作へと段階的に進みます。復帰のタイミングを科学的に判断するための基準も整備されています。
「年のせいだから仕方ない」とあきらめる必要はありません。原因がわかれば、楽になる方法が見つかるかもしれません。当院は全78床が脊椎専門、外来医師全員が脊椎専門医です。まずはお気軽にご相談ください。
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